KNOWLEDGE学術情報

はじめに

「猫の乳腺癌の予防には、若齢時の不妊手術が有効である」という知識が普及したことから、近年日本における猫の乳腺癌の発生率は減少しつつあるのかもしれない。ただし、病理組織検査センターへの依頼件数の推移をみるかぎり、乳腺癌は猫でもっとも頻繁に認められる悪性腫瘍の1つであることにいまだ変わりない。そして、病理組織検査センターに送付される猫の乳腺癌の約半数が、現在でも部分摘出検体であるという。猫の乳腺癌は、早期に適切な治療を施すことで、長期生存できる可能性が向上する。そのためには、適切なタイミングで適切な術式を選択し、必要に応じて術後補助治療を検討する必要がある。本稿では、猫の乳腺癌を治療する際に必要な基礎知識から、治療や予後に関する最新の考え方までをエビデンスとともに、そしてエビデンスが不十分な内容に関しては著者の経験をあわせて解説する。

Ⅰ.病態と診断

1. 病態

猫の乳腺部に発生する腫瘤性病変の80%以上が悪性腫瘍で、悪性腫瘍の98%が乳腺癌で占められている。犬と異なり、猫では良性の乳腺腫はほとんど存在せず、良性腫瘍は過形成や炎症性病変である点に注目する必要がある1)(図1)。
2005年1月~2014年12月に病理組織検査ノースラボに提出された猫の乳腺癌1,965例の疫学データをまとめると、日本における猫の乳腺癌の発生年齢の中央値は12歳齢(2~22歳齢)、99%は雌猫で発生し(雌:雄=1,902:22、うち41例が性別不明)、大部分が雑種猫であり好発品種は認められていない。犬と同様、猫でもホルモンと乳腺腫瘍発生の関係性が強く示唆されている。
つまり、不妊手術実施の有無と乳腺癌発生の関係が認められており、不妊手術を実施していない猫と比較して、生後6カ月齢未満で不妊手術を実施すると乳腺癌の発生率を91%低下させ(オッズ比=0.09、95%信頼区間:0.03~0.24)、7~12カ月齢未満では86%(オッズ比=0.14、95%信頼区間:0.06~0.34)、13~24カ月齢では11%(オッズ比=0.89、95%信頼区間:0.35~2.3)低下させるが、24カ月齢以降では不妊手術の効果が認められなかった2)

図1. 猫の乳腺部に発生する疾患ランキング

図1. 猫の乳腺部に発生する疾患ランキング

出典:小林哲也, 賀川由美子:病理組織検査から得られた猫の疾患鑑別診断リスト2015, Vet Oncol, 8: 42, 2015. より引用・改変

猫の乳腺部に発生する腫瘤性病変の80%以上が悪性腫瘍で、悪性腫瘍の98%が乳腺癌で占められている点に注目。

2. 診断

猫の乳腺腫瘍の外貌は、発見される時期によってさまざまであるが、小さな腫瘤は被毛で覆われてしまうため発見しにくいことがある(図2~6)。
また、猫の乳腺腫瘍の33~60%は多発する傾向があるため3-6)、乳腺に腫瘤を1カ所認めたら、乳腺領域を剃毛し、全乳腺を1つずつ丁寧に、鼠径および腋窩リンパ節腫脹の有無とともに触診する必要がある。
術前仮診断は原則的に細針吸引(FNA。図7)、確定診断は術後病理組織検査(外科マージン、グレード、脈管浸潤の有無、リンパ節転移の有無の確認)で行う。
術前の精密検査(ステージング)として、広義のミニマムデータベース〔血液検査(CBC)、血液化学検査、尿検査、±チロキシン(T4)〕、3方向胸部X線検査、2方向腹部X線検査、腹部超音波検査、腋窩および鼠径リンパ節のFNAが含まれる。猫の乳腺癌の肺転移は、犬の乳腺癌の肺転移のような明確な結節性病変をつくらず、微小結節として認められる場合も多い点に注意する(図8~10)。
多くの症例で、肺の転移性病変が大型化する前に胸水が貯留しはじめ、呼吸困難を引き起こす(図9、11)。
また、猫の乳腺癌のリンパ節転移は、明確なリンパ節腫脹をともなわないことも多い。とくに猫の乳腺癌の初期リンパ節転移率は20~42%と比較的高く3, 5, 7-12)、乳腺癌がリンパ節転移を引き起こしている可能性を十分に考慮して診断・治療を進めたほうが無難である。
猫の乳腺の領域リンパ節の解剖図を図12に示した。また、猫の腋窩および副腋窩リンパ節の超音波検査による描写法を図13に、鼠径リンパ節および副鼠径リンパ節の描写法を図14に示した。古典的な世界保健機構(WHO)病期分類13)は複雑で使用しにくいため、実際に用いられることが多い変更型病期分類10)を表1にまとめる。

図2. 固着性大型乳腺癌

図2. 固着性大型乳腺癌

雑種猫、不妊雌、9歳齢。左第3~4乳腺に発生した固着性大型乳腺癌(最長径7cm)。初診時に肺および右鼠径リンパ節に転移をともなっていた。

図3. 多発性大型乳腺癌

図3. 多発性大型乳腺癌

雑種猫、不妊雌、10歳齢。左第2(最長径5.5cm)および左第3乳腺(最長径3.3cm)に発生した、硬結感のある多発性大型乳腺癌。初診時に腋窩および鼠径リンパ節に転移をともなっていた。

図4. 潰瘍をともなう多発性乳腺癌

図4. 潰瘍をともなう多発性乳腺癌

雑種猫、雌、12歳齢。左右乳腺に1.0~6.7cm大の多発性腫瘤を認め、一部は舐め壊して潰瘍化している。初診時に副腋窩リンパ節に転移をともなっていた。

図5. 比較的小型な嚢胞性乳腺癌

図5. 比較的小型な嚢胞性乳腺癌

雑種猫、不妊雌、14歳齢。左第4乳頭部付近に発生した1.2×0.4cm大の嚢胞状腫瘤。細針吸引で液体が採取され腫瘤自体はほぼ消失したが、細胞診検査で乳腺癌であることが判明した。

図6. 図6.比較的小型な硬結性乳腺癌

図6. 固着性大型乳腺癌

ペルシャ、不妊雌、11歳齢。右第4乳頭付近に小型硬結の乳腺癌。腫瘤が被毛に覆われており、発見が困難であった。切除後の病理組織検査で、腋窩、副腋窩、鼠径リンパ節には転移性病変が存在していないことが確認された。

図7. 猫の乳腺癌の細胞診画像

(画像提供:IDEXXラボラトリーズ平田雅彦先生)

図7. 猫の乳腺癌の細胞診画像 a
図7. 猫の乳腺癌の細胞診画像 b
図7. 猫の乳腺癌の細胞診画像 c
図7. 猫の乳腺癌の細胞診画像 d

a: 猫の乳腺癌の細胞診画像(低倍率)。大小の集塊を形成する乳腺分泌上皮が認められる。

b: 猫の乳腺癌の細胞診画像(中倍率)。分化度の高い乳腺分泌上皮。細胞異型には乏しく、シート状の配列は単層立方上皮であることを示している。

c: 猫の乳腺癌の細胞診画像(中倍率)。腺上皮の重層化をともなう乳腺分泌上皮の集塊が多数認められる(○)。猫では腺上皮の重層化が認められたら乳腺癌を強く疑う。

d: 猫の乳腺癌の細胞診画像(高倍率)。細胞間結合性に乏しいタイプの乳腺癌。異型性は中等度から重度である。

図8. 胸骨リンパ節および肺転移を
ともなう乳腺癌の胸部X線画像

図8. 胸骨リンパ節および肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像 a
図8. 胸骨リンパ節および肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像 b

雑種猫、不妊雌、17歳齢。身体検査にて左右副腋窩リンパ節付近に複数の乳腺癌(最大約1.5cm)を認める。肺野にはび漫性に直径約4mmの境界不明瞭で陰影度の淡い結節~気管支パターンともとれる陰影が無数に認められる。あきらかな胸腔内液体貯留を示唆する所見は認められない。胸骨リンパ節は不整な形を呈し重度に腫大しているが(矢印)、この猫は消化器型リンパ腫もともなっているため、胸骨リンパ節の腫大がリンパ腫と乳腺癌のどちらのものによるかは正確には不明。
a:側方像、b:VD像

図9. 中等度の癌性胸水および肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像

図9. 中等度の癌性胸水および肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像 a
図9. 中等度の癌性胸水および肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像 b

雑種猫、不妊雌、14歳齢。右第3~5乳腺に複数の乳腺癌を認める。肺野には直径約3mmの辺縁がにじむ粟粒性結節~気管支パターンともとれる陰影を無数に認め、重度に粗造にみえる。胸腔内には中等量の液体貯留が認められ、側方像では心臓の陰影がはっきりと確認できない。胸水の細胞診検査で癌性胸水が確認された。また胸骨リンパ節もしくは胸膜の肥厚を疑う所見が認められるため(矢印)、超音波での確認が必要である。
a:側方像、b:VD像

図10. 肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像(び漫性気管支間質パターン)

図10. 肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像(び漫性気管支間質パターン) a
図10. 肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像(び漫性気管支間質パターン) b

雑種猫、不妊雌、15歳齢。右第5乳腺に自潰をともなう乳腺癌を認める。肺野にはび漫性に重度の気管支間質パターンを認め、ほかにも粟粒性結節が無数に認められる。気管支パターンあるいは結節パターンの周囲から、にじむように肺胞パターンが広がる。胸水貯留は認められない。
a:側方像、b:VD像

図11. 肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像(粟粒性結節)

図11. 肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像(粟粒性結節) a
図11. 肺転移をともなう乳腺癌の胸部X線画像(粟粒性結節) b

スコティッシュ・フォールド、不妊雌、15歳齢。左第4および第5乳腺に0.8~1.3cm大の多発性乳腺癌を認める。肺野全葉に境界不明瞭な粟粒性の結節が無数に認められる。胸腔内には少量の液体貯留が認められる。胸水の細胞診検査で癌性胸水が確認された。
a:側方像、b:VD像

表1. 猫の乳腺癌の変更型病期分類

表1. 猫の乳腺癌の変更型病期分類

図12. 猫の乳腺の領域リンパ節の解剖図

図12. 猫の乳腺の領域リンパ節の解剖図

腋窩リンパ節および副腋窩リンパ節は、外側胸動静脈に沿って体幹側に付着している。鼠径および副鼠径リンパ節は、浅後腹壁動静脈に沿って乳腺側に付着している点に注目する。

図13. 超音波検査における腋窩リンパ節
および副腋窩リンパ節の描出法

[撮影協力:(公財)日本小動物医療センター戸島篤史先生]

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腋窩・副腋窩リンパ節の描出方法

前肢を軽く曲げて窪みをつくる

前肢を軽く曲げて窪みをつくる

まずは腋窩静脈を見つける

まずは腋窩静脈を見つける

a: 腋窩リンパ節を描写する際、保定者は前肢を軽く曲げて腋窩部に窪みをつくる(写真指先)。腋窩部を剃毛すると皮膚が擦れて動物が違和感を感じ、皮膚炎を起こしたりすることがあるため、極力剃毛は避け、アルコールあるいは超音波ゼリーのみで超音波検査を実施したほうが無難である。

b: aの拡大写真。

c、d: a でつくられた窪みに超音波プローブを縦断面で当てると腋窩静脈を通常は描写する。

腋窩静脈が胸腔内に消え入る手前尾側に

腋窩静脈が胸腔内に消え入る手前尾側に

e、f: 腋窩静脈を胸腔側に追い続け、腋窩静脈が胸腔に消え入る直前、腋窩静脈の尾側に低エコー性の腋窩リンパ節を描写することができる。

腋窩静脈に分岐する外側胸静脈沿いに

腋窩静脈に分岐する外側胸静脈沿いに

g、h: 腋窩リンパ節付近、腋窩静脈から分岐する外側胸静脈(外胸静脈)を検出し(動画中矢印)、外側胸静脈を尾側に追い続けると、外胸静脈先端に低エコー性の副腋窩リンパ節を描写することができる。外側胸静脈を追いかける時のプローブの動きとしては、胸壁に向かってプローブを立てるように、胸壁沿いにプローブを尾側に滑らせるイメージである。

図14.超音波検査における鼠径リンパ節および
副鼠径リンパ節の描出法

[撮影協力:(公財)日本小動物医療センター戸島篤史先生]

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猫の鼠径リンパ節の超音波描出方法

第4乳腺正中にプローブを当てて

第4乳腺正中にプローブを当てて

a、b: 第4乳腺を中心に剃毛し、第4乳腺正中に横断面で超音波プローブを当てる。

恥骨までプローブを尾側に移動

恥骨までプローブを尾側に移動

c、d: プローブの角度を変えず、そのまま尾側に水平移動させると、音響陰影(超音波がほとんど反射してしまう組織の後方でエコーが減弱、あるいは消失した領域)として、恥骨を検出することができる。

恥骨よりやや頭側に鼠径リンパ節が

恥骨よりやや頭側に鼠径リンパ節が

e、f: 恥骨よりやや頭側の脂肪組織内に、左右それぞれ2つの鼠径リンパ節(内側および外側)を描写することができる。外側鼠径リンパ節が1mm以下の場合、超音波では検出しにくく、内側鼠径リンパ節のみ描写されることもある。

そのまま浅後腹壁静脈に沿って頭側に移動すると

そのまま浅後腹壁静脈に沿って頭側に移動すると

g、h: 内側および外側鼠径リンパ節を挟み込むように走行している浅後腹壁静脈を検出し、浅後腹壁静脈を頭側に追い続けると、浅後腹壁静脈の先端に低エコー性の副腋窩リンパ節を描写することができる。プローブの動きとしては、鼠径リンパ節付近の浅後腹壁静脈を検出後、第4乳腺外側に向けてプローブを水平移動するイメージである。

Ⅱ.最新治療と論点

1.猫の乳腺癌の術式

猫の乳腺癌の術式(図15)として、古くから乳腺片側あるいは乳腺両側切除術が推奨されている14)。その有用性は1984年にMacEwenらが報告しており、乳腺切除あるいは乳腺領域切除が実施されたヒストリカル・コントロール群46例と比較して、乳腺片側切除された44例の無再発期間は有意に延長した(p<0.01)15)(図16)。ただし、同研究では術式と生存期間との間に有意差は生じていない。また伊藤らの研究では、術式と無再発期間あるいは生存期間との間に統計学的有意差は認められないものの、乳腺部分切除群の2年生存率が0%であったのに対し、乳腺片側あるいは乳腺両側切除術群では43.4%と、拡大切除群の生存期間は延長する傾向があった16)

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猫MGTとLN切除 手術動画

図15.乳腺腫瘍を切除する際の各術式の名称

図15.乳腺腫瘍を切除する際の各術式の名称

図16.異なる外科手術法と無再発期間の関係を
示すカプラン・マイヤー生存曲線

図16.異なる外科手術法と無再発期間の関係を示すカプラン・マイヤー生存曲線

出典:MacEwen E. G., et al.: Evaluation of effect of levamisole on feline mammary cancer,
J Biol Response Mod, 3: 5, 541-546, 1984. の 図3を引用・改変

下曲線は1972~1975年に乳腺切除あるいは乳腺領域切除がなされた猫46例、上曲線は1976~1980年に乳腺片側切除術がなされた猫44例で、両群間の生存期間に有意差が認められている(p<0.01)。

ただし、いずれの報告も回顧的研究であり、特定の条件下での有用性が示されただけにすぎない。つまり、猫の乳腺癌において腫瘤切除、乳腺切除あるいは乳腺領域切除よりも、乳腺片側あるいは乳腺両側切除術の治療成績のほうが優れていることを示す十分なエビデンスは確認されていない。
さらに、研究様式に問題があるものの(症例数不足、選択バイアスや交絡因子の問題など)、術式の選択が生存期間に影響を与えない可能性を示す研究すら存在する8, 17)
それでも乳腺片側あるいは乳腺両側切除術が強く推奨される理由は、猫の乳腺癌における腫瘍細胞のリンパ管内浸潤あるいはリンパ節転移率が、犬のそれらよりはるかに高いことに関係している。
つまり、腫瘤切除、乳腺切除あるいは乳腺領域切除によってリンパ節あるいはリンパ管内に顕微鏡的レベルの腫瘍細胞を残してしまうリスクを考慮すると、腋窩リンパ節から鼠径リンパ節まで を一括して切除(en bloc切除)する方法が、治療成績を少しでも向上させる可能性が高い。なお、鼠径リンパ節は乳腺片側切除時に付随してくるが、通常の乳腺片側切除術では腋窩リンパ節を切除することはできない。腋窩リンパ節の具体的な切除法について図17、18に示す。
さらに、近年、乳腺片側切除術よりも、乳腺両側切除術のほうが生存期間を延長する可能性が示唆された3)(乳腺片 側切除術群61例の無進行期間中央値=9.6カ月vs.乳腺両側切除術群14例の無進行生存期間中央値=18.1カ月、p=0.004)。この研究では、乳腺片側切除術の合併症(術創離開、漿液腫、血腫、ヘルニア、呼吸困難)発生率が19.7%であったのに対し、片側ずつ段階的に乳腺両側切除した猫では35.7%、乳腺両側切除を一度に実施した猫では40.6%と、乳腺両側切除術を選択した群の合併症が高率に発生することもあわせて確認している(p=0.027)。

図17.腋窩リンパ節の切除法

a 外側胸動静脈

ポイント

乳腺から腋窩に伸展する
外側胸動静脈を探す

a: 乳腺を剥離している途中で、深胸筋尾側と広背筋との間から伸展している外側胸動静脈を探す。多くの場合、外側胸動静脈は第1~2乳腺間外側の皮下組織内に認められる。

b 外側胸動静脈 副腋窩リンパ節

ポイント

外側胸動静脈をガイドにする

b: 副腋窩リンパ節、腋窩リンパ節および輸入・輸出リンパ管は、外側胸動静脈に併走しているため、これらを目印にする。なお、外側胸神経も外側胸動静脈に併走する。

c 腋窩リンパ節 深胸筋 広背筋

ポイント

腋窩リンパ節は深胸筋、
または広背筋の内側に
張り付くように存在することが多い。

d 腋窩リンパ節 副腋窩リンパ節

d: 腋窩リンパ節は深胸筋あるいは広背筋の内側に張り付くように存在することが多く、助手に筋肉を持ち上げてもらい、もしくは切開して腋窩を覗きながら、血管神経とともに剥離を深化させる。

2. 全身治療の有用性

乳腺癌が早期に発見され、積極的な外科的治療がなされた猫は、外科治療単独でも長期生存する可能性が高い。一方、後述する負の予後因子を1つでも抱える猫の乳腺癌は転移率が高く、術後に全身治療が必要であることは明確である。
肉眼的病変あるいは転移性病変を有する猫の乳腺癌に対し、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドを投与した際の奏効率は40~50%と報告されている18, 19)
これらの奏効率が比較的高いことから、さまざまな研究で、高リスク症例の術後化学療法の有用性が問われてきた。現在までの報告はすべて回顧的研究で、化学療法の有用性を正確に証明することはできていないが、乳腺片側切除された猫の乳腺癌において、術後にドキソルビシンを投与した群のほうが長期生存する可能性が示唆された10)(乳腺片側切除術単独群の生存期間中央値=13.8カ月vs.乳腺片側切除術+ドキソルビシン投与群の生存期間中央値=66.6カ月、p=0.03)。
また、ドキソルビシンを主体とした化学療法が、猫の乳腺癌の腫瘍死リスクを低下させる可能性も報告されている3)(オッズ比=0.36、95%信頼区間:0.19~0.7)。
一方、術後にカルボプラチンを投与しても外科治療単独群との間に有意差を見出せなかったという報告20)や、McNeilらの研究でも、全症例を対象にすると全生存期間に有意差を見出せないという報告10)など、術後化学療法の有用性は一貫していない。そのほか、乳腺癌の術後にドキソルビシンを投与した複数の回顧的研究の治療成績をみても、外科治療単独群と比較して、生存期間が劇的に延長しているとは言いがたい8, 9, 11)
猫の乳腺癌における術後化学療法の真の効果を問うためには、無作為化試験あるいは重要な予後因子別に階層化した大規模コホート研究が必須である。それまでは高リスク乳腺癌に対し、ドキソルビシンあるいはカルボプラチンを中心とした術後化学療法を引き続き検討する必要がある。猫の乳腺癌において、筆者が考える化学療法の暫定適用基準を表2に示す。

図18.副腋窩リンパ節および
腋窩リンパ節とともに切除された乳腺

図18.副腋窩リンパ節および腋窩リンパ節とともに切除された乳腺

外側胸動静脈に沿いに副腋窩リンパ節および腋窩リンパ節が連続しており、それらを連絡しているリンパ管ごとまとめて摘出している。乳腺片側切除術によって切除した乳腺の全体像。

表2.術後化学療法の適用例
(暫定適用基準)

表2.術後化学療法の適用例(暫定適用基準)

3.そのほかの内科治療

犬の肥満細胞腫の治療薬として開発された分子標的薬トセラニブが、猫の乳腺癌にも奏効する可能性がある(効能外使用)。
猫におけるトセラニブの薬用量は、第2相試験の結果から2.8mg/kgの週3回投与~隔日投与が用いられることが多い。有害事象の発生率は報告によってまちまちであるが21-23)、トセラニブを使用し続けると、その投薬期間に応じて大小さまざまな有害事象が発現すると考えておいたほうがよい。
代表的なものに、食欲低下を含む胃腸障害、肝酵素および腎数値の上昇などがある。犬では食欲低下、嘔吐、下痢、跛行、色素脱など、臨床徴候をともなう副作用が主体であるのに対し、猫では消化器毒性に加え、血液検査で確認される副作用が緩徐に発現する傾向があることに注意する。
つまり、猫では臨床徴候だけでなく、CBCや血液化学検査によるモニタリングが重要で、定期的な血液検査で肝臓や腎臓などの異常を見逃さないよう気をつける必要がある。猫におけるトセラニブの有用性については不明な点も多いが、乳腺癌の肺転移の進行を約1年間遅延させた症例の胸部X線画像を図19に示す。

*豆知識:有害事象と
副作用の違いとは?
主作用(病気を治療する作用)以外の作用を副作用と呼び、因果関係がはっきりしないものも含め、薬物を投与された動物に生じたあらゆる好ましくない、あるいは意図しない徴候または病気を有害事象と呼ぶ。

図19.転移性乳腺癌に対し
トセラニブを
投与した経過を示すX線画像

雑種猫、不妊雌、8歳齢。右鼠径リンパ節転移をともなう右側多発性乳腺癌を摘出した。

a:乳腺癌の摘出後

a:乳腺癌の摘出後、第345病日に肺への転移性病変を確認し、トセラニブを開始した。

b:トセラニブ開始から29日後(第374病日)

b:トセラニブ開始から29日後(第374病日)。肺の大きな結節は小さくなり、部分奏効(PR)と判断した。その後、病変の縮小と拡大を繰り返す。

c:トセラニブ開始から323日後(第668病日)

c:トセラニブ開始から323日後(第668病日)。あきらかな胸水貯留が認められ、この後間もなく死亡した。トセラニブによって、病変の進行を約10カ月間制御することが可能であった。

4 予後因子について

現在までに報告されているさまざまな予後因子のなかでも、腫瘍の大きさはとりわけ重要と考えられていたが、小さくても早期に転移をしてしまう乳腺癌も存在する。
そのため、腫瘍の大きさおよびリンパ節転移の有無といった臨床的な予後因子と、病理組織グレードおよびリンパ管内浸潤の有無といった病理組織学的な予後因子を組み合わせて評価することが重要である。

①腫瘍の大きさ

腫瘍の大きさは簡単に評価可能な因子として有用で、世界中の多くの研究で猫の乳腺癌の予後因子であることが確認されている5, 8, 11, 15-17, 24(図20)。
現在までに報告された猫の乳腺癌の大きさと生存期間中央値の関係を表3に示す。腫瘍の大きさが3cm以上となると、一貫して生存期間が短くなる傾向がある。一方、腫瘍の大きさが予後との関係を示さなかった研究6, 11, 12, 25)や、3cm未満でも生存期間中央値が短い研究も報告されているため、腫瘍の大きさ単独ですべての猫の乳腺癌の予後を評価することは難しそうである。
つまり、3cm未満の小さな腫瘍では長期生存可能なグループと早期に転移を引き起こすグループが混在しているため、ほかの予後因子(リンパ節転移の有無やグレード)とともに予後を評価する必要がある。

図20.腫瘍の大きさと
生存期間の関係を示す
カプラン・マイヤー生存曲線

表20.腫瘍の大きさと生存期間の関係を示す

この研究では、直径2cm未満の乳腺癌の生存期間中央値は4.5年、2~3cmでは2年、3cm以上では6カ月であった。

MacEwen E. G., et al.: Evaluation of effect of le­vamisole on feline mammary cancer, J Biol Response Mod, 3: 5, 541-546, 1984. の図2を引用・改変

表3.猫の乳腺癌の大きさと
生存期間中央値の関係

表3.猫の乳腺癌の大きさと生存期間中央値の関係

②乳腺癌のリンパ節転移あるいは
リンパ管内浸潤の有無

乳腺癌のリンパ節転移(図21)およびリンパ管内浸潤の有無(図22)は、一貫して負の予後因子であることが確認されている 3, 5, 12, 17, 26-28)。前述のとおり、猫の乳腺癌の初期リンパ節転移率は20~42%と報告されているが、リンパ管内浸潤率はさらに高く29~70%に及ぶ3, 5, 10-12, 27-29)
Seixasらの研究では、リンパ節転移をともなう猫17例は全例が術後9カ月以内に命を落としている12)。腋窩リンパ節は鼠径リンパ節と異なり、通常の乳腺片側あるいは両側切除術では付随せず、やや特殊な方法で摘出する必要があるが、鼠径リンパ節に加え腋窩リンパ節への転移をきちんと評価することで、より正確な予後判定ができるようになる可能性がある。

図21.乳腺癌のリンパ節転移を
示す病理組織像

(画像提供:ノースラボ賀川由美子先生)

図21.乳腺癌のリンパ節転移を示す病理組織像

本来のリンパ節構造(↓より上)を置換するように腫瘍細胞の増殖(↓より下)が認められる。

図22.乳腺癌のリンパ管内浸潤を
示す病理組織像

(画像提供:ノースラボ賀川由美子先生)

図22.乳腺癌のリンパ管内浸潤を示す病理組織像

腫瘍細胞は周囲のリンパ管内に浸潤している(↑)。

③病理組織グレード(図23)

猫の乳腺癌は、人の乳腺癌の分類法であるElton & Ellis 分類にそって、腫瘍細胞の多形性、管腔形成の有無、核分裂像の数を中心にグレード1~3に分類されている。
猫の乳腺癌の予後がグレードと関係することを示す研究も多く5, 12, 25, 29, 30)、術後1年後の死亡率は、グレード1が0%、グレード2が30~42%、グレード3が90~100%と報告されている。
また、グレード1の乳腺癌の大きさの中央値および範囲は1.1cm(0.6~2.8cm)、グレード2が2.2cm(0.5~5.5cm)、グレード3は3.0cm(0.3~7.0cm)と、グレードが高くなるにつれて腫瘍が大きくなる傾向がある。
一方、腫瘍が1cm以下でも高グレードのこともあるため、小さな乳腺癌の予後はグレードとともに評価する必要がある。
グレードは猫の乳腺癌の予後を評価するうえで強力なツールであるが、実際はグレード1が約5%と極端に少ないこと、ほかの腫瘍と同様にグレード評価は主観的になりがちであること、Elton & Ellis分類は腫瘍細胞の脈管内浸潤の有無を評価していないこと、グレード2と3の鑑別がしばしば困難であることなどから、猫の乳腺癌に対し幅広く活用されるには課題が残されている。

図23.猫の乳腺癌の
グレードを示す病理組織像

(画像提供:ノースラボ賀川由美子先生)

a:グレード1の乳腺癌

a:グレード1の乳腺癌。異型性の乏しい上皮細胞による管腔形成が認められる。分裂像はほとんど認められない。

b:グレード2の乳腺癌

b:グレード2の乳腺癌。グレード1に比べ細胞密度が高く、細胞異型も認められる。また分裂像も散見される。

c:グレード3の乳腺癌

c:グレード3の乳腺癌。管腔構造は不整で、中心部には壊死が起こっている。

d:グレード3の乳腺癌

d:グレード3の乳腺癌。細胞密度は高く、多数の分裂像が認められる。

Ⅲ.化学療法について

1.  顕微鏡的病変に
対する術後化学療法

①ドキソルビシン

25mg/m2を30~60分かけて3週ごとに静脈内投与。ドキソルビシン投与後5日間はマロピタントとの併用を推奨している。猫の乳腺癌は高齢で発生することが多いため、治療が腎臓に与える負担を常に考慮する。
とくに慢性腎臓病をともなっている猫には、全身麻酔が腎臓に与える影響やドキソルビシンの腎毒性に注意する。IRISステージ2(血清クレアチニン=1.6~2.8)程度であれば、ドキソルビシンが禁忌になることは少ないが、投与前後の6~24時間は静脈内点滴で水和を保つとよい。
腎機能の程度によっては、前日入院させて静脈内点滴を持続する方法もある。ご家族が入院を希望しない場合、ドキソルビシン投与3日前から皮下輸液に通ってもらい、投与当日は朝から静脈内点滴という方法をとることもある。なお、クレアチニンが基準値内であっても、ドキソルビシン投与前の十分な水和および投与後の皮下輸液を忘れないようにする。

②カルボプラチン

200mg/m2を30分かけて3週ごとに静脈内投与。カルボプラチンは腎臓排泄であるため、慢性腎臓病の程度によっては薬用量を減量することがある。

2.  肉眼的病変あるいは
転移性病変が
検出された後の化学療法

①トセラニブ

2.8mg/kgを食後に隔日投与~週3回投与。トセラニブのモニタリングとして、筆者は原則的にトセラニブ投与後1、2、4、6週間後、その後4週間ごとにCBCおよび血液化学検査を実施している。

Ⅳ.ご家族および
動物看護師に
指導するときの
ポイント

1.ご家族に指導する
ときのポイント

◆ 腋窩~鼠径部にかけて、猫には4対の乳腺が存在し、いずれの乳腺からも乳腺癌が発生し得ることを理解してもらう。

◆定期的に猫の乳腺を触ってしこりの有無を確認してもらう。万一乳腺にしこりを感じたら、しこりが大きくなるまで待たず、速やかに動物病院を受診するようお願いする。その理由として、猫の乳腺部腫瘤は悪性腫瘍が多く、2cm未満の大きさで発見された乳腺癌は、良好な予後をたどる可能性が残されているが、3cm以上に成長した乳腺癌は、ほぼ全例で予後が悪いことを理解してもらう。

◆ 根治を目指すのであれば、猫の乳腺癌の標準的治療法が乳腺片側あるいは乳腺両側切除術であることをきちんと理解してもらう。

2.動物看護師に
指導するときのポイント

◆ シャンプーやホテルで猫を預かっている際、できるかぎり乳腺を触診し、腫瘤をみつけたら速やかに獣医師に伝えること。

REFERENCES / 参考文献

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